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株式会社TeN 池田英樹氏インタビュー

新卒時代から10年以上培ったD2Cノウハウを強みに、新規獲得領域を軸にクライアントへの包括的な事業支援までを手がけるTeNの広告事業部。直雇用だけでなく業務委託という形で外部パートナーも活かしながら組織形成を行う執行役員の池田氏に、強いマーケ組織の作り方と、そこに込めた人材哲学を伺った。


「顧客の「ソウゾウ」力」と「熱量」——マーケターに求める2つの力

――求めるマーケターの素養はどこに置いていますか。

一番大事にしているのが顧客の「ソウゾウ」力です。これ、ダブルミーニングなんですよ。「創造」と「想像」の2つの意味を込めていて。

一つは「想像」——どういう人が買うんだろうって、ペルソナやターゲットをとことん妄想できる力ですね。もう一つが「創造」——プロダクトの持っている能力は同じでも、それをどう解釈するかで広告の切り口が変わるじゃないですか。その切り口次第で新しいお客さんを創り出せるし、購入率も変わってくる。この2つの意味で、顧客のソウゾウ力っていうのが大事だと思っているんです。

あとは熱量は非常に重要視しています。2010年代のD2Cはある程度ロジックが決まっていましたが、今は全然違う。今って本当に市場環境が複雑で、論理ベースだけだとうまくいかない確率がより高まっていると考えます。だからこそ、諦めずに熱を持ち続けられる人が最終的に成功に持っていける。失敗と判断し追求することを辞めたことを失敗と定義するのであれば理論上、成功するまでやり続ければ失敗って存在しないと考えています(引き際の見極めはもちろん大事です)。

そもそも熱量は主体性の前提原資だと考えている哲学がありまして、熱量がある人で主体性がない人はいると思いますが、主体性がある人で熱量がない人は存在しないと考えています。また熱量自体は燃料であり、それが忍耐力や思考の深さにも全部つながると考えています。

――ユーザーの情報リテラシーが上がって、市場が変わってきているというのもありますか。

それは大きいですね。ユーザーは情報の取捨選択が上手くなっているし、物質的にも選択肢そのものが増え、どんどん多様化が進んでいる。選ばれる確率が純粋に下がっているわけですから、大枠でターゲットを捉えるやり方では、うまくいきづらい時代になっていると感じます。

「原則は揃えよう、やり方は揃えなくていい、学びは共有しよう」

――組織運営で大事にしている考え方を教えてください。

組織の思想として大事にしているのが、「原則は揃えよう、やり方は揃えなくていい、学びは共有しよう」という考え方です。

ユーザーの行動心理という原理原則は変わらない。仮説検証を回すというプロセスも原理としてある。でも、目的達成のやり方はAだけじゃなくてBもCもある。これを揃えてしまうと、今の時代はむしろ難しくなる。

例えば広告運用でCPAを下げたい場合、仮説検証を回すという原則はみんな同じでも、広告の設定の仕方や対処の手順は人によって違う。他社で経験を積んできた業務委託の方が「うちのやり方と違う」からといってそれを潰してしまうと、新しい知識やプロセスが組織に入ってこない。業務委託を活用するメリットを活かしきれなくなってしまうんです。

――採用を増やす前に、まずこの軸を決めておくことが大事だと。

そうですね。うちにとっての原則はどこか、やり方として揃えるところ・揃えないところはどこか。それを整理した上で人を迎えないと、せっかく優秀な人が来ても型にはめてしまうことになる。業務委託でも直雇用でも、同じことが言えると思っています。

業務委託は「恋人」、直雇用は「結婚相手」のようなもの

――業務委託と直雇用の存在について、どう考えていますか。

恋愛と結婚の話に近いんですよ。恋愛って好きを起点に付き合うことが多いと思います。でも結婚って、苦手なところの許容ラインを超えてこないかが大事かなと。このレッドラインは許せるから、うちの組織として業務委託でとどまらずに直雇用で一緒に取り組んでいきたい——もちろん直雇用と業務委託で差別するわけではありません。どのように関わることでお互いもっとも期待値コントロールができるのか、そこで組み方が違うだけだと思っています。

――業務委託活用で企業が陥りやすい失敗はありますか。

語弊を恐れずに言うと業務委託の方に「期待しすぎ・前提を持ちすぎ」ですね(笑)。高スキルを保有している確率が高いので期待が上がるんですが、正社員と同じ無償のコミットメントを期待してしまうことがある。でも、それは来ない。逆の立場を考えたらわかることで。

業務委託の方が意識するのは、時間対効果を上げること、すなわち時給を上げること。100点を6時間かけて出すより、80点を短時間で出す動き方になるのは当然なんです。そこを勘違いしてしまうと、お互いにとって良くない。

――業務委託が向いている業務・向いていない業務の違いはありますか。

クリエイティブ制作や構造設計など、アウトプットが明確でプロセスがある程度決まっているものは任せやすい。一方で、日々改善を継続するようなマーケ業務は、一定の時間的投下が物を言う領域です。ゴールも答えも明確になりにくい分、業務委託との相性は難しいですね。

――業務委託から直雇用へのルートはどう評価していますか。

めちゃくちゃ価値があると思っています。履歴書って、特にマーケターは参考にならないんですよ。論より証拠の領域だから。熱量だったり想像力だったり言動一致だったり——これは履歴書には書けないし、見抜けない。でも一緒に仕事をすれば見える。そういう意味で業務委託を経て直雇用というルートは、採用の質という観点でもめちゃくちゃ理にかなっています。

ただ、そういう人たちはなかなか市場に出てこない。大体リファラルで動くか、個人事業主になっていく。だからこそ、そのクッションを挟む意味は大きいと思っています。

新卒に最初に伝えること——「言ったことをやりきれるか」

――新卒の育て方についてはどう考えていますか。

何をやるかよりも、どう取り組むかを最重視しています。一番大事なのは言動一致です。宣言したことをやりきれるか、コミットできるか。スキルはいくらでも後から磨けるので。

――信用と信頼という言葉も大事にされていると聞きました。

信用は過去に向いていて、信頼は未来に向いていると考えています。最初は任されたことを現場でやりきることで信用が生まれる。その積み上げが「うまくいくかわからないけど、この人に任せてみたい」という信頼になる。

結果に人がついてくるんじゃなくて、プロセスに人がついてくるんですよ。言ったことをちゃんとやり続けていれば、たとえ失敗してもナイスチャレンジで終わって共感者も増えるし、仲間もついてくる。そうなれば新しいチャレンジもできるし、機会が増えることでスキルはいくらでも磨けます。

マーケターである前にビジネスマン、ビジネスマンである前に人じゃないですか。どんな役割でも、まず人として信用を作れるかどうか——そこが全部の出発点だと思っています。

「常識を知り、常識を疑う」——組織に根ざした哲学

――会社のカルチャーをひと言で表すとすれば?

「常識を知り、常識を疑う」というキーワードを大事にしています。一般的にはこうだからこうしましょう、で終わるのは普通の会社になってしまう。でも常識を知らずにやるのは基準がないからそれも違う。常識をちゃんと知った上で、「俺たちはどうするか」というワンクッションを必ず挟む。

これはマーケティングにも直結する思想です。セオリー的にはこうだけど、それを知った上で「今回はこうします」「うちはこうします」という咀嚼が大事。右に倣えじゃなくて、自分なりに解釈して出す。それが差別化につながっていくと思っています。


Profile

池田 英樹
株式会社TeN

https://www.andco.group/


取材・文:BRAND CREW編集部
BRAND CREWは、D2C・Webマーケ特化の業務委託人材マッチングサービスです。

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